読書つれづれ〜BUTTER、未必のマクベス、たゆたえども沈まず

読書は心の栄養になりますね。

普段は美容や化粧品技術関係の論文や資料ばかりに暮れてしまい、

大好きな小説から遠ざかっていたここ数年。

美容は幸せをお届けするものなので、

心の在り様が静かに満ちていれば、仕事にも役立つと再認識しました。

 

ここ3ヶ月で読んだ小説です↓

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かなり特性入り乱れていますが、以下はピックアップ3点。

 

柚木麻子著『BUTTER』

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記憶に新しい婚活殺人事件を題材の一つにした小説。

読み進める内に胸に迫るのが、

社会が女性に求めるもの、多すぎやしませんか?ということ。

仕事もして、料理も家事もして、出産して、育児して、介護する。

その上で、女として綺麗でいなくちゃいけない。

それらが日々、女性に見えない圧力のようにのしかかり、

なかなか自分に合格点を出せずに、生き辛いと感じてしまう…。

そう、一番認めてもらいたいのは、他人ではなく「自分自身」なんですよね。

バターたっぷりのお料理描写とともに、ヘビーな小説ですが、

最後は和風だしなのでちょっとスッキリ。

 

 

早瀬耕著『未必のマクベス』

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法律用語の「未必の故意」の未必。

マクベスはご存知のとおり、シェイクスピア四大悲劇のひとつ。

マクベスになろうとした訳ではないが、なってもかまわない。

といった意味のタイトルかと思います。

久々に男性目線の小説を読みましたが、

村上春樹のようなストーリーテリング、簡潔だからこそ胸に迫る文体に、

ぐいぐい引き込まれます。男のロマン、ダンディズム、初恋の力…。

エンターテインメント小説ってこうでなきゃ!と思える

楽しい読書ができると思います。

アジア、特に香港を舞台にしており、異国を旅している気分にも。

表紙も素敵!

 

<補足>

英文科の学生だった大学時代を思い出しながら読みましたが、

四大悲劇には含まれない『ロミオとジュリエット』。

決してくだらない恋愛物語ではなく、「見た目」と「本質」の乖離をテーマにし、

「恋愛=喜劇」という当時の常識を打ち破ったエポックメイキングな戯曲です。

これだけは言いたかった…。ちなみに、

もし私が大学時代シェイクスピア演習で原文で学ばなかったら、

今の人生にはならなかっただろうな、と思えるほど影響を受けました。

バラはバラという名前でなくても、同じように甘く香るもの、です。

 

 

原田マハ著「たゆたえども沈まず」

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原田マハさんの小説が大好き。

ひたむきで清澄なお人柄かと推察するほど、心の礼儀正しい語り口。

美術小説なので、画家の人生を追いながら一気読みしてしまいます。

本書はゴッホの画家人生を描いていますが、

ゴッホ作品にある孤高な激しさのようなものが切ない程に理解できます。

1880年代にパリで美術商を営んでいた実在の人物・林忠正の

堂々とした生き方は大いに参考になりますし、

なぜ多くのヨーロッパ人が日本文化を認めているのか。

私達日本人でも気づかない美点・気質にハッとさせられます。

そして何より、タイトルの、セーヌ川の船乗り達の言葉の意味、

表紙の「星月夜」のすくっと立つ「糸杉」に込められた想い…

心が洗われるような感動に満たされました。

考え込んでもどうにもならないことってありますよね。

でも、どんな嵐がきてもやがては通り過ぎる。

嵐が吹き荒れている時は小舟になって、強い風に身を任せていればいいのだ、

そうすれば沈まない。

読後感素晴らしいですよ。すごくお薦めです。

 

春、心浮きち外に出るのも素敵ですが、

心の栄養が欲しい時は、特に「未必のマクベス」「たゆたえども沈まず」ぜひ(*^^*)

 

#読書 #小説 #BUTTER #未必のマクベス #たゆたえども沈まず


人生に残る読書経験「二つの祖国」

この夏、人生に残る読書経験でした。

 

20代の頃からずーっと読みたいと思っていた

山崎豊子著「二つの祖国」。

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日系2世でアメリカ国籍を持つ主人公が

太平洋戦争によって日米二つの祖国の間で身を切り裂かれながらも、

誠実に信念を貫く、鮮烈な生き様。

 

日系人強制収容所、太平洋戦争、原爆調査、東京裁判

の柱で進む超大作ですが、

 

延べ300人にも及ぶ取材、取材を裏付ける大量の公文書・資料を元に、

完成した作だそうで、主人公は実在の人物をモデルにしたそう。

まさに山崎豊子節炸裂です。

 

常々、私は「歴史とは、勝者が作った”ストーリー”である」

と認識はしていましたが、

 

これほどまで、私達が教えられてきた「歴史」と違うものだとは、

正直驚きました。

 

右とか左とか、そんなことじゃない。

語られることがなかった”歴史”を、小説という”ストーリー”に載せて

描く稀代の文筆家・山崎豊子が問いかけてくることは何か?

 

日本人として人間として、

知っておくべきこと、忘れちゃいけないこと、考えるべきこと。

いろいろな想いがよぎります。

 

そして、日本人本来の気概、家族や人とのつながり、愛、

といったものが胸に染みわたりました。

ラスト、号泣です。

 

これが1980年代に出版されていたことにも驚かされますが、

このような傑作を今日まで読まなかった自分に腹立たしささえ覚える、

超おすすめ作。

 

女性としての生き方も学ぶことができると思いますよ。

(新潮文庫第三巻P234、四巻P261、必見!)

心の襟を正されます手

 

 


「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」

素晴らしい景色って心を動かすものですね。

「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」
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アイディアに煮詰まったり、どうにも緊張がほぐれない時、
この本を開き、しばし現実逃避したりしています。

ウクライナのクレヴァニにある「恋のトンネル」、
ボリビアの「ウユニ塩湖」、
イタリアのランペドゥーザ島・・・などなど。

facebookページを書籍化したもので、世界56万人の支持を得ているそうなので、
ご存知の方が多いかもしれませんね。

話が重くなりますが・・・
「死ぬまでに行きたい!」というタイトルゆえか、
平家物語の「新中納言、見るべき程のことは見つ、」
と自害する一節を思い出したのですが、

人生で思いがけないつらい試練にぶつかると、
「見るべき程のことは見つ」という心境に陥りがち。でも、
見るべきものは世界にこんなにたくさんある、自分の「絶景」を見つけて、
いつか行ける時が来るまでがんばろう、という前向きな気持ちになれる本です。

大好きな本(小説)を読む時間がなかなかとれない…とつぶやいていたら、
日頃お世話になっている方がプレゼントしてくださったものなので、
私にとっては心の温かさが感じられる大切な一冊。

絶景の写真を見るだけでも癒されますが、
アクセスの方法や旅の予算まで書いてあるので、
結構現実味があって、「決して夢じゃない」って思えます。

素敵!!



 

楽園のカンヴァス

"You are all a lost generation"(あなたたちはみな失われた世代です)

ヘミングウェイ「日はまた昇る」の扉に引用されていることでも有名なガートルード・スタイン。

「楽園のカンヴァス」の扉にも彼女の言葉が引用されています。
それだけで、興味がそそられ、手に取って読み始めたのですが、

「美術(絵画)ミステリー」と評されている本書。
ミステリー的要素よりも、登場人物の「情熱」にただただ感動でした
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画家アンリ・ルソーの絵画への情熱、
彼を支えた人々の情熱、
ルソーに対する、コレクターの、研究者の、キュレーターの情熱・・・。
そして、著者のルソーへの情熱があふれています。

お恥ずかしながら美術や絵画に全く無知な私なので、
本作による情報しかないのですが、

後に、絵画史において、ピカソにも影響を与えた天才といわれながら、
40歳を過ぎて税官吏から画家を志し、貧しい中、世間に認められることなく死んでいった、
アンリ・ルソーを巡る物語です。

美術館の裏事情や、絵画の見方、登場人物の男女の物語も重ねると、

「何が豊かな人生といえるのか?」人生観にも影響を与えてくれる本だと思います。

さらに、個人的には、絵画と美容とジャンルは違えども、
美を追及する姿勢や愛に学ぶところ大でした。

というのは、化粧品開発など私の仕事は、楽しくさせていただきながらも、
また、お客様やスタッフに涙が出るほど嬉しい励ましの言葉をかけてもらいながらも、
時にはですけれど(本当に「時には」です)、孤独で身を削るような思いもします。

より多くの女性のキレイをお手伝いして喜んでいただきたい!
そんな初心を、情熱を、美への執念を、大いにかきたてられ心洗われました。

「この作品には情熱がある。画家の情熱のすべてが。」
そんな評価をいただけるように、これからも魂を込めて商品作りをしていきたいと思います。

スタイン女史の言葉、
"lost"(失われた、迷子の)"状態とはかけなはれたところに向けて
 ※"lost generation"はこの作品に描かてれいる時代よりもっと後です


「ジェントルマン」

ビューティブログに載せるのは少々気がひけますが、
あまりに秀逸な結末に、心ふるえお薦めせずにはいられず・・・
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表は、完璧で才能あふれた「ジェントルマン」。裏では、悪行をくりかえす卑劣な男。
そんな「ジェントルマン」の正体に魅せられ愛してしまった主人公のゲイ男性…というストーリー。

数年前の短編「MENU」を進化させた作品だと感じながら、
山田詠美さんの美しくオリジナリティに溢れた文体に、久しぶりに読書の楽しみを堪能しました。

例えば、
「高いレベルで外見と内面のバランスを取りながらも、そこに隙というアクセサリーを付け加えるのを忘れなかった(中略)彼は、オーラの着崩しに長けていた。」

「オーラの着崩し」・・・なんて素敵な言葉でしょうか。
隙なく計算されたものは「野暮なカリスマ」。
完璧なジェントルマンとは、オーラまで着崩す術に長けている人、なんだそうです。

ただし、共感とは無縁。このジェントルマンは善悪の概念をとびこえています。
人の心を殺しても、実際に死に至らしめても、何も感じない。
人の心をみくびっているがゆえに、造作なく人を操れるという矛盾。
そこに嫌悪感を覚えるのですが・・・

「ユメ(主人公)は俺のものだもんな」と主人公の愛をもみくびりすぎたジェントルマン。
圧巻の結末、心の襞が織りなす繊細な部分を理解できなかったゆえに起こる事態に、
私は胸がすくような思いがしました。

「それ」を聞いた時、
「初めて、ぼくは、きみよりも自分を愛した。」

「友情は裏切る」でも、愛情も違う形で裏切るのです。
ジェントルマンにとっては日常にすぎなかったことであっても・・・。

単なるピカレスク小説(悪漢譚)とは一線を画した、傑作だと思います。
結末にも、あるいは嫌悪感をもよおす方がいらっしゃるとは思いますが、
決して人の心をみくびってはいけない、という警句のように響いたのは私だけでしょうか。

さらに、私には性格上とても難しいことなのですが、
まず自分が自分を一番好きであり、そして「どう」人を愛するのか、に挑戦してみたくなりました。




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